簿記資格の種類と違い〜日商/全商/全経の級ごとの難易度・合格率を比較〜

『簿記資格』とひとくくりにいっても、主催している団体も試験の内容も違う複数の簿記資格があるということをご存知でしょうか?

簿記資格の種類は有名なところで言うと「日商簿記」「全商簿記」「全経簿記」というものがあります。

なぜこのように種類があるのかというと、簿記資格が国の法律に基づいて定められた国家資格ではなく、都道府県や市区町村の条例に基づいて定められた公的資格になるからで、それぞれ各団体が主催しているので複数の簿記資格があるというわけです。

これらは主催しているところが違うというのはもちろんですが、難易度もそれぞれかなり差がありますので、できるだけわかりやすいように解説していきます!

①難易度…★☆☆
全商簿記の学習内容や合格率

まずはこの3つの中で難易度が一番低い全商簿記から解説します。

全商簿記というのは、正式名称は「全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定」という資格で、公益財団法人全国商業高等学校協会が主催している資格になります。

この主催しているところを聞いて想像できるかと思いますが、主に受験者は商業高校の生徒ということになります。

試験の内容としては学校教育で学べることが中心のため、他の簿記資格に比べると難易度は低めとなっています。

級は3級、2級、1級とあり、1級に関しては「会計」と「原価計算」に分かれています。

受験料と主な学習内容は以下の通りです。

受験料 学習内容等
3級 1,300円 商品売買業を営む個人企業の基礎・基本となる会計処理を学ぶ。
2級 1,300円 商品売買業を営む個人企業の発展的な会計処理と、株式会社の基本的な会計処理について学ぶ。
1級
会計
1,300円 株式会社の会計処理を中心に会計法規や企業の業績測定等に関する内容を学ぶ。
1級
原価計算
1,300円 製造業で用いられる簿記で、製品の製造に要した金額(原価)の計算手続きについて学ぶ。

受験料に関しては、どの級を受験するにも一律1,300円という安価で受験することができます。

また、直近10回の合格率も表でまとめてみました。試験は毎年1月・6月の第4日曜日の2回行われます。

■全商簿記3級
実施回 受験者数 合格者数 合格率
76 11,968人 4,987人 41.67%
77 41,977人 25,018人 59.60%
78 12,288人 4,742人 38.59%
79 41,315人 22,971人 55.60%
80 12,925人 5,723人 44.28%
81 38,179人 23,966人 62.77%
82 11,640人 5,268人 45.26%
83 38,425人 23,659人 61.57%
84 11,438人 4,862人 42.51%
85 38,133人 24,237人 63.56%
平均合格率 51.54%
■全商簿記2級
実施回 受験者数 合格者数 合格率
76 16,206人 6,900人 42.58%
77 51,646人 28,668人 55.51%
78 16,630人 6,533人 39.28%
79 50,186人 31,562人 62.89%
80 15,340人 6,390人 41.66%
81 47,041人 28,545人 60.68%
82 15,501人 5,979人 38.57%
83 48,163人 30,107人 62.51%
84 15,734人 5,504人 34.98%
85 48,838人 34,255人 70.14%
平均合格率 50.88%
■全商簿記1級(会計)
実施回 受験者数 合格者数 合格率
76 19,591人 5,017人 25.61%
77 41,061人 15,113人 36.81%
78 20,683人 6,786人 32.81%
79 38,889人 19,215人 49.41%
80 16,783人 6,804人 40.54%
81 36,209人 17,494人 48.31%
82 17,294人 4,102人 23.72%
83 37,916人 10,477人 27.63%
84 21,292人 12,367人 58.08%
85 34,251人 13,080人 38.19%
平均合格率 38.11%
■全商簿記1級(原価計算)
実施回 受験者数 合格者数 合格率
76 25,330人 11,326人 44.71%
78 22,883人 11,529人 50.38%
79 33,378人 13,787人 41.31%
80 25,292人 10,412人 41.17%
81 33,066人 16,411人 49.63%
82 23,931人 11,310人 47.26%
83 33,015人 15,393人 46.62%
84 23,551人 11,324人 48.08%
85 31,443人 13,994人 44.51%
平均合格率 41.37%

合格率は3級と2級は約50%と、受験者の約半数が合格するという非常に難易度が易しい試験です。

ただ、さすがに1級になると合格率は一気に10%ほど下がり、会計・原価計算ともに40%前後という数字になります。

それでも、1級でおよそ40%の合格率があるということを踏まえても、かなり易しい資格であるという事がお分かりいただけるかと思います。

このように合格率が軒並み高いのは、全商簿記は全国の商業高校の生徒が対象のため、位置づけが「落とす試験」ではなく「合格させる試験」だからだと言われています。

②難易度…★★☆
全経簿記の学習内容や合格率

次に、全商簿記より少し難易度が上がる全経簿記を解説します。

全経簿記は、「公益社団法人全国経理教育協会主催 簿記能力検定試験」の略で、文部科学省の認定を受けている資格です。

先ほどの全商簿記は全国の商業高校に通う高校生が対象でしたが、全経簿記は専門学校生が主な対象者となってきます。

とはいえ、専門学校生のみならず、仕事で経理業務などをされる方のスキルアップとして受験される方も多くいらっしゃいます。

全経簿記は基礎簿記会計、3級、2級、1級、上級とあり、2級は「商業簿記」と「工業簿記」、1級は「商業簿記・会計学」と「原価計算・工業簿記」に分かれています。

各級の受験料と学習内容をまとめました。

受験料 学習内容等
基礎簿記
会計
1,200円 商品売買業を営む個人企業の基礎・基本となる会計処理を学ぶ。
3級 1,400円 商品売買業を営む個人企業の会計処理と、小規模株式会社の基本的な会計処理について学ぶ。
2級
商業簿記
1,700円 商品売買業を営む個人企業の発展的な会計処理と、中規模株式会社の基本的な会計処理について学ぶ。
2級
工業簿記
1,700円 製造業で用いられる工業簿記の基礎を学ぶ。
1級
商業簿記
会計学
2,200円 大規模株式会社の会計処理を中心に会計法規や企業の業績測定等に関する内容を学ぶ。
1級
原価計算
工業簿記
2,200円 製造業で用いられる工業簿記の発展的な処理方法や計算方法を学ぶ。
上級 7,500円 商業簿記、会計学、工業簿記及び原価計算について高度な知識を学び、併せて複雑な実務処理能力を習得する。

受験料は基礎簿記会計から1級までは1,200円〜2,200円と比較的受験しやすい金額ですが、上級になると7,500円の受験料がかかります。

まぁ、全経簿記の上級を取得すると税理士試験の受験資格を貰えるくらいのモノなので、これくらいの金額は当たり前かもしれませんね。

お次に、直近10回の合格率を表にまとめてみました。試験は毎年2月・5月・7月・11月の4回行われます。(上級のみ年2回)

なお、全経2級に関しては186回から科目別合格制に変わったので、直近6回の記載となっています。

■全経簿記基礎簿記会計
実施回 受験者数 合格者数 合格率
182 159人 127人 79.87%
183 2,321人 1,574人 67.82%
184 1,861人 1,249人 67.11%
185 951人 585人 61.51%
186 83人 47人 56.63%
187 1,606人 1,046人 65.13%
188 1,513人 1,041人 68.80%
189 966人 626人 64.80%
190 119人 88人 73.95%
191 992人 770人 77.62%
平均合格率 68.32%
■全経簿記3級
実施回 受験者数 合格者数 合格率
182 1,535人 1,170人 76.22%
183 6,251人 4,715人 75.43%
184 9,922人 7,949人 80.11%
185 10,183人 5,074人 49.83%
186 1,502人 990人 65.91%
187 6,059人 4,076人 67.27%
188 8,573人 6,373人 74.34%
189 8,107人 3,657人 45.11%
190 1,604人 955人 59.54%
191 5,989人 3,600人 60.11%
平均合格率 65.39%
■全経簿記2級(商業簿記)
実施回 受験者数 合格者数 合格率
186 1,153人 417人 36.17%
187 2,430人 994人 40.91%
188 3,035人 959人 31.60%
189 4,069人 1,327人 32.61%
190 1,069人 662人 61.93%
191 1,816人 890人 49.01%
平均合格率 42.04%
■全経簿記2級(工業簿記)
実施回 受験者数 合格者数 合格率
186 121人 117人 96.69%
187 442人 409人 92.53%
188 502人 398人 79.28%
189 575人 498人 86.61%
190 220人 183人 83.18%
191 582人 442人 75.95%
平均合格率 85.71%
■全経簿記1級(商業簿記・会計学)
実施回 受験者数 合格者数 合格率
182 463人 191人 41.25%
183 879人 454人 51.65%
184 624人 317人 50.80%
185 629人 213人 33.86%
186 272人 129人 47.43%
187 685人 242人 35.33%
188 687人 269人 39.16%
189 587人 129人 21.98%
190 474人 245人 51.69%
191 640人 149人 23.28%
平均合格率 39.64%
■全経簿記1級(原価計算・工業簿記)
実施回 受験者数 合格者数 合格率
182 379人 89人 23.48%
183 828人 471人 56.88%
184 890人 354人 39.78%
185 1,070人 566人 52.90%
186 296人 170人 57.43%
187 668人 403人 60.33%
188 781人 395人 50.58%
189 783人 509人 65.01%
190 291人 157人 53.95%
191 595人 316人 53.11%
平均合格率 51.35%
■全経簿記上級
実施回 受験者数 合格者数 合格率
173 2,548人 410人 16.09%
173 2,790人 390人 13.98%
175 2,358人 392人 16.62%
177 2,602人 423人 16.26%
179 2,238人 479人 21.40%
181 2,482人 446人 17.97%
183 2,133人 379人 17.77%
185 2,220人 417人 18.78%
187 1,920人 305人 15.89%
189 2,210人 335人 15.16%
191 1,935人 321人 16.59%
平均合格率 18.65%

こちらの表を見てみると、1級でも合格率が非常に高いのがわかりますし、特に原価計算・工業簿記の方は毎回50%前後とかなり高確率で合格できる試験ということがわかります。

ただ、さすがに上級ともなると合格率は20%弱で推移しており、生半可な勉強では受からないことは数字が示しています。

合格率を見ても分かるように、1級までは比較的合格率が高くなっていますので、自分の知識やスキルに自信をつけるにはもってこいの資格といえます。

どんな資格でも【1級】を持ってると何か気持ちいいですよね!(私だけ?笑)

また、先ほども書きましたが、この全経簿記の上級を取得すると税理士試験の受験資格を得る事ができるというメリットもありますので、ステップアップを目指す方は是非受けてみましょう!

③難易度…★★★
日商簿記の学習内容や合格率

「簿記」と聞くと多くの方が連想するのがこの「日商簿記」です。

日商簿記は日本商工会議所が主催しており、知名度が高く受験者数も多い簿記資格です。

こちらも文部科学省の認定を受けている資格となり、歴史はかなり古く1954年から始まりました。

級は初級、原価計算初級、3級、2級、1級とあるのですが、正直、初級と原価計算初級に関しては簿記の超入門編といったところなので、持っていたところでそんなに役に立たないのが現状です^^;

あとでこの2つ(特に原価計算初級)の合格率を見たら驚愕すると思いますw

実際に就職活動で役に立ってくるのは3級よりも上の級になり、会計や経理、財務を望む方は2級を持っていると結構な強みになります。

管理人も日商簿記2級に合格し、経理職に転職した経験があります!

では、各級の受験料と学習内容を見てみましょう。

受験料 学習内容等
初級 2,160円 簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを学ぶ。
原価計算
初級
2,160円 原価計算の基本用語や、原価と利益の関係を学ぶ。
3級 2,800円 商品売買業を営む個人企業の発展的な会計処理と、株式会社の基本的な会計処理について学ぶ。
2級 4,630円 株式会社の高度な会計処理と、製造業で用いられる工業簿記の基礎を学ぶ。
1級 7,710円 極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算・会計基準や会社法などの企業会計に関する法規を学び、経営管理や経営分析ができるようになる。

このように、受験料は全商簿記や全経簿記と比べるといくらか高めの設定となっています。

で、難易度が一番高いとされる日商簿記ですが、試験は年に3回(2月・6月・11月)行われ、1級は年に2回の施行になります。

直近の合格率は以下のようになっています。
(※初級は2017年度、原価計算初級は2018年度からできた新しい試験で、インターネットを介した試験方式なので、期間で合格率を算出しています)

■日商簿記初級
期間 受験者数 合格者数 合格率
2017年4月~2018年3月 4,167人 2,243人 53.83%
2018年4月~6月 1,237人 751人 60.71%
平均合格率 57.27%
■日商簿記原価計算初級
期間 受験者数 合格者数 合格率
2018年4月~6月 491人 475人 96.74%
■日商簿記3級
実施回 受験者数 合格者数 合格率
140 79,467人 41,910人 52.74%
141 84,708人 22,094人 26.08%
142 89,012人 23,701人 26.63%
143 83,915人 28,705人 34.21%
144 94,411人 42,558人 45.08%
145 80,832人 38,289人 47.37%
146 80,227人 40,880人 50.96%
147 88,970人 35,868人 40.31%
148 78,243人 38,246人 48.88%
149 79,421人 35,189人 44.31%
平均合格率 41.66%
■日商簿記2級
実施回 受験者数 合格者数 合格率
140 47,480人 16,395人 34.53%
141 59,801人 7,042人 11.78%
142 70,402人 10,421人 14.80%
143 44,364人 11,424人 25.75%
144 56,530人 7,588人 13.42%
145 60,238人 15,075人 25.03%
146 43,767人 20,790人 47.50%
147 47,917人 10,171人 21.23%
148 48,533人 14,384人 29.64%
149 38,352人 5,964人 15.55%
平均合格率 23.92%
■日商簿記1級
実施回 受験者数 合格者数 合格率
135 11,037人 1,153人 10.45%
137 8,738人 847人 9.69%
138 9,931人 877人 8.83%
140 8,108人 716人 8.83%
141 9,087人 873人 9.61%
143 7,792人 846人 10.86%
144 8,416人 783人 9.30%
146 7,103人 626人 8.81%
147 8,286人 487人 5.88%
149 7,501人 1,007人 13.42%
平均合格率 9.57%

上の表でわかるように、全商簿記や全経簿記に比べても合格率はかなり落ちるのがわかります。

1級に至っては直近10回の試験で合格率の平均が10%を割っていることからも、その難易度の高さが伺えます。

なお、全経簿記上級と同じく、日商簿記1級の合格者にも税理士試験の受験資格が与えられるのですが、全経上級の平均合格率が20%弱あるのに対し、日商簿記1級の平均合格率は10%前後と、約2倍の差があります。

この事実からも、税理士試験の受験資格のことだけを考えれば、日商簿記1級よりも合格の可能性が高い全経簿記上級の合格を目指したほうが賢いかもしれません。

各簿記資格の違いと難易度まとめ


ここまで「日商簿記」「全商簿記」「全経簿記」の違いや難易度比較をしてきましたが、相対して見てみると日商簿記1級だけが飛び抜けて難易度が高く、次いで全経簿記上級、日商簿記2級、全経簿記1級、全商簿記1級…という試験の難易度になるかと思います。

ここでひとつ言いたいのですが、全商簿記1級や全経簿記1級を持っている方はぜひ、日商簿記2級にもチャレンジしてみてください!

試験の難易度としては日商簿記2級の方が高いですが、全商や全経の1級を持っている方は簿記知識の基盤は間違いなく持っておられますし、そうなると日商簿記2級の合格もかなり見えてきていると思います。

日商簿記は知名度も高く企業が求める人材としている場合が多いので、日商簿記2級を持っていれば大体の企業から一目置かれます。

逆に日商簿記3級までだと履歴書に書いてもそこまで目にとまりませんし、仮に全商簿記1級や全経簿記1級を持っていたとしても、就職活動などで思っているような評価が得られない可能性があります。

せっかく日商簿記2級と同等の知識があっても周囲に伝わらなくては損をすることしかないので、是非チャレンジしてみて下さいね!

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